Queer Culture Year 2022
Queer Culture Year 2022 in Norway

クィア・カルチャーイヤー2022

ノルウェーで男性同性愛が非犯罪化されてから今年で50周年を迎えます。この記念すべき節目の年を「Skeivtkulturår クィア・カルチャーイヤー」とし、年間を通し各種関連行事が計画されています。これらイベントは、ベルゲン大学クィア・アーカイブ、ノルウェー国立美術館、ノルウェー国立図書館の協力によりノルウェー全土で展開します。

LGBT+の権利に関し先進的な取り組みで知られるノルウェーならびに北欧諸国ですが、かつて同性愛は非合法とされていました。ノルウェーで(男性の)同性愛が非犯罪化されてから今年で50年が経過します。1972年4月21日、男性間の性行為を禁止するノルウェー刑法第213条が廃止され、これを契機に一連の社会変革が始まり本日に至ります。

Queer Culture Year 2022
Skeivt kulturår 2022

ノルウェー政府は、レズビアン、ゲイ、同性愛、トランスジェンダーの人々の権利を強化し、国の重要課題として、性的指向、性自認、ジェンダー表現に起因する差別の撤廃に取り組んできました。また、自由な芸術的表現はLGBT+コミュニティに対する偏見や差別に関する認識を高める役割を担い、国内外で寛容とインクルージョンを促進する場を提供しています。

クィア・カルチャーイヤー主催者は「クィアコミュニティは私たち共通の文化に決定的な貢献をもたらし、オープンな社会の実現のために闘ってきました。 しかしながらノルウェーにおけるクィアの歴史は未だ明文化されておらず、その文化と経緯の全貌は明らかにされていません」とコメントしています。

4月21日の記念日に加えて、クィア・カルチャーイヤーでは展覧会、意見交換会、映画上映、セミナーなどのイベントが、ネットワークでつながる各地の会場で行われます。この活動を支えるのがクィア・アーカイブの専門知識です。「クィア・カルチャーイヤーを契機に、美術館、図書館、アーカイブの各コレクションの受け止められ方が大きく変化することを期待しています」「私たちが目指すのは、時代をさかのぼり、セクシュアリティ、性別、行動規範に反する(または異なる)方法で人生を生き、自分自身を世界に提示した当時の人々に思いを馳せることです」

 

◆ノルウェー国立図書館(オスロ)
”高慢と偏見 - ノルウェーの文化の歴史にみるLGBTQI+のストーリー” 展(~4/23)
絵画と法的文書、聖書の言葉とロックミュージック、詩とポルノ、下品な冗談とユーロヴィジョンソング、の各テーマに沿って書籍、雑誌、草稿、写真、映画、オーディオ録音を展示します。本展の目的は「複雑に入り組んだ ”ジェンダー・愛・解放” の物語を紡ぐこと」と説明しています。
さらに、アイコン的映画やドラァグの歴史紹介はじめクィア関連のセミナーや各種イベントを一般公開のうえ開催します。またノルウェー郷土史研究所によるクィア歴史資料の刊行や、全国の公共図書館におけるクィア・ポスター展(国立図書館制作)が予定されています。

 

◆ノルウェー国立美術館(オスロ)
今年6月に新装オープンする国立美術館では、クィアアートと文化をフィーチャーし、ポッドキャスト、パフォーマンス、展示、トークショー、映画上映など多岐にわたるプログラムが用意されています。
またオスロ建築トリエンナーレ2023と連携した展示も行われます。「Mission Neighbourhood – (Re)forming Communities」をテーマとするトリエンナーレの2022版としてBankplassenの建築美術館で開催するもので、過去70年の建築の歴史を振り返り、建築と都市開発にコミュニティーがどのように関わってきたかを考察します。このうちのひとつはスウェーデンの建築集団MYCKETのサイトスペシフィックなインストレーションです。MYCKETはクィアスペースとクィアナイトクラブ建築に関するリサーチに基づき遊び心あるクラブコンセプトと独自の美学を用い創作活動を行っています。

 

◆ベルゲン大学クィア・アーカイブ
ベルゲン大学のクィア・アーカイブは、クィア・カルチャーイヤーの中心的存在です。6月3日からクィアの歴史に関する展示をスタートし、秋(9月1日~)には「Decriminalizing History」と題する展示をオープンします。これは「ダイバーシティーを祝うと同時に、クィアの独立を宣言するもの。権利の輪郭を明示し、未だ渦中にある闘いに光を当てる」と学芸員のDavid Carrillo-Rangelは展示の目的を説明します。
ベルゲン大学はまたクィアに特化した会議を1年にわたりシリーズで開催します。
主題と日程:「Queer Identity as Political Currency(4/26)」「 Why (Queer) History Matters (8/29~30」「Queer History: 2022 – And the Way Forward (10/27)」


ベルゲン大学クィア・アーカイブ(YouTube)

 

◆KODE美術館 (ベルゲン)
ベルゲンのKODE美術館(KODE Art Museums and Composer Homes)は、クィア・カルチャーイヤー2022を記念する各種イベントを計画しています。4月から10月まで開催される「The Queer Gaze」展は美術館初の試みとして、クィアの視点によるストーリーとアイデンティティを備える美術館コレクションを選び展示します。古典から現代まで時代を超えた作品から選ばれたすべての作品は、美術史に重要な位置を占めるクィアな経験を表現しています。
「Bergen Ballroom」は、KODEで今年開催されるイベントの中でも特筆すべきプロジェクトのひとつです。これはCarte Blanche 、Mother Cassandra Merakiとの協力によるものでベルゲンのヴォーグダンスシーンを特集し、ヴォーグダンス、ドラァグ、ジェンダーのアイデンティティと表現に関するワークショップが開催されます。また4月に開かれる「ベルゲンKiki Ball」はベルゲン初のヴォーグルームを再現します。

 

◆ヘニー・オンスタ アートセンター(Høvikodden)
ナイジェリア生まれの写真家Rotimi Fani-Kayode (1955 – 1989)作のカラープリントシリーズ「Every Monent Counts:AIDS and its Feelings」のタイトルを冠した展示が行われています(~5/22まで)。60ヵ国のアーティストによる作品200点を集めたものです。HIV/AIDSの歴史的背景と現状に光を当て、ディスカッションを再構築することがねらいです。クィア文化を特集するとともに、社会的・政治的危機に直面した時代に、アートがいかに重要な役割を果たしたのかを考えます。

 

◆冬期展覧会 トロンハイム/ベルゲン/トロムソ
トロンハイムのKunsthallで12/1から「Knowledge Keepers」が開催されます。女性/ノンバイナリー/サーミを代表する 3名のアーティストElin Már Øyen Vister、Sissel M. Bergh、Carolina Caycedoからなるグループのプロジェクトです。キリスト教化、植民地など権力支配構造以前の土地やジェンダーとの様々な関係性を特集する企画展です。

 

◆ベルゲン海事博物館
10月中旬まで「Queer Lives at Sea 」展を開催します。これは「家としての船」をテーマに博物館が行うリサーチをベースに、同性・異性愛者双方の経験から、同性愛が罰せられていた時代に、船がどのように家として機能したかを明らかにします。そしてクィアな性的アイデンティティにとって海がどのような意味を持つのかを考えます。

 

◆トロムソ極地博物館
「The Chair, the Parka and the Rusk: Queering Polar History」展が11月から開催されます。同展は、極地の歴史におけるクィアに関する物語に光を当て、極地博物館コレクションから過去の解釈を紐解きます。

Queer Culture Year 2022
Queer Culture Year 2022 in Norway

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