ノルウェー政府年金基金グローバル

政府年金基金グローバルは、ノルウェーの石油収入の長期的運用を支えるための財政手段として1990年に設立されました。

この基金はノルウェー国民のために財務省が所有し、財務省に代わってノルウェー中央銀行投資管理部門(NBIM)が運用しています。基金の市場価値の詳細についてはこちらに掲載されています。

財務省はこの基金に石油収入を定期的に組み入れています。そして基金の資金はノルウェー国外で投資されています。これは国内経済の過熱を防止し、石油価格変動の影響を受けないようにするためです。基金からは、国際株式、確定利付け債、不動産に投資されています。財務省が定めた指針に従って、リスクをうまく調整しつつ最も高い利益を上げられるよう、分散投資を行っているのです。

年金給付は、なされず
この基金は、石油価格が下落した場合やノルウェー経済が収縮した場合に財政政策を調整できる余地を政府に残すために設立されました。また高齢化や、石油収入の予想される低下などの財政課題に対処するためのツールでもあります。基金は長期投資を目的としていますが、必要に応じて引き出すこともできるように設計されています。
この基金は2006年に政府年金基金グローバルと改名されるまで、石油基金と呼ばれていました。この改名は、将来予想される公的年金コストの増加に備えて政府収入を貯蓄するという基金の役割を反映してのものでした。ただしその名にもかかわらず、基金には公式の年金債務はなく、将来の年金コストを賄うためにいつこの基金を使うかについての政治的決断もまだなされていません。

 

財政手段
この基金は、政府の年間予算と一体化されています。その財源は、政府の全石油収入、及び石油活動関連の金融取引の純益で構成され、そこから国家の非石油部門の赤字を補填するための資金が差し引かれています。
つまり基金は国家予算と完全に一体化されており、基金への正味の割当額は、石油収入を含めた予算の余剰額によって決定されているのです。基金の国家予算への繰入額を基金の投資利益率の4%以下とする、いわゆる支出ルールは、2001年に策定されました。

 

責任ある投資
責任ある投資慣行を戦略に含めようとする投資家が増えています。投資機関としてノルウェーは、この点で最良の慣行の発展に貢献したい考えです。基金の投資対象企業の監視・除外指針には、基本的人道主義に反する兵器(クラスター爆弾や核兵器など)を製造している企業には基金の資産を投資しないと定められています。

 

倫理委員会
倫理委員会(The Council on Ethics) が、各企業への投資が倫理指針に沿っているかどうかの評価を行なっています。財務省は、基金の投資対象からの企業の除外に関する決定を、この委員会の勧告に基づいて行ないます。財務省の決定や倫理委員会の勧告内容は財務省のホームページで公表されています。

 


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